No.27 25 January , 2006
太陽の軌跡を撮影しよう!〜全天カメラの紹介〜後編

通信25号で紹介した「全天カメラによる日周運動の教材製作」の後編をお送りします。 本号では、全天カメラで撮像した映像からどんな教材ができあがったのか、製作された太陽の日周運動の映像を実際にご覧いただけます。

Ms. Takataからのロンドン便り第9弾では、BETTといわれる教育工学関連のビジネスショーの様子を報告していただきました。教育現場向けにどんな情報機器が提案されているでしょう?また、英国ではそういった情報機器がどのくらい実際の教室に使われているのでしょう?

その他、日本地球惑星科学連合2006年大会、第47回科学技術映像祭参加作品募集についてお知らせします。

全天カメラによる太陽の日周運動の映像教材製作―2:太陽の日周運動の映像

宮城教育大学 惑星科学研究室  千島拓朗・高田淑子

通信25号では全天カメラをご紹介しましたが、今回は、全天カメラで撮像した太陽の日周運動の映像をご紹介します。まず、インターバル撮像で得られた画像に、方位やサイズの補正(回転、縮小拡大)を行います。また、生徒が各時間の太陽の方位・高度を読み取りやすいように、方位・高度の座標を挿入します。このとき、事前に透明半球で確認した高度と画角の関係や実際の太陽の観測値データを用います。ここまでの一連の作業は、Adobe社のグラフィックソフトのイラストレーターを用いました。また、Microsoft社の動画編集ソフトMovie Makerを用いて、これらの画像を時間の経過と共に編集し映像化しました。

1日の1時間ごとの画像を合成して得られた太陽の軌跡を図1に紹介します。このような図はよく教科書に掲載されていますが、これだけでは運動の向きがわかりません。そこで次に動画をご覧ください。図1をクリックするとWindows Media Playerが起動し、太陽の動きが分かる映像がご覧いただけます。図1は夏至に撮影されたものですが、図2は同じ地点で、春に撮影した映像です。季節が異なると太陽の天球上の位置、日の出、日没の方位、南中高度、そして、軌跡自体が変化することがわかります。また、観察場所を変えてみて、北緯51度のロンドンで夏に撮影した映像が図3です。観察場所が変わると、同じ季節でも太陽の天球上の位置も変化するのがわかります。

これらの画像・映像から、日の出から日没にかけて、太陽の位置が東の方向から西の方向へ移動すること、また、季節によって、また、観測場所により、日の出、日没の方位や、太陽の軌跡の変化、南中高度の変化を読みとることができます。

図1 仙台(宮教大屋上北緯38度)の夏至の日(2005年6月21日)の1日を通した太陽の軌跡。淡く白い円形が太陽。+は読み取った太陽中心位置。
クリックすると映像が紹介されます。
Get Windows Media Player
図2 春分の日(2005年3月15日)の太陽の軌跡。図2と撮像場所は同じ。夏至の太陽位置と比較すると、南中高度が低く、日の出日の入りの方位も南よりになっている。
クリックすると映像が紹介されます。
図3 異なる緯度の地域の太陽の軌跡。ロンドン大学天文台(北緯51.5度)にて夏至近く(2005年7月12日)に撮像。図1の映像と比較すると南中高度が低いことが理解できる。
クリックすると映像が紹介されます。

これらの映像は、中学生が、理科第2分野の「天体の動きと地球の自転・公転」の「四季の太陽の動き」を学習するときの補完教材として利用できるのではないかと考えています。現在、この単元は、新課程で中学校3年生の秋から冬にかけて学ぶ事になり、卒業前の多忙な時期に、天気に恵まれないとできない透明半球を用いた太陽の方位・高度の観測は、実施すること自体が難しくなってきています。そこで、映像と太陽の軌跡を示す画像から、方位・高度を読みとり透明半球にプロットして太陽の軌跡を描くことで、1時間の授業時間内で学習できるのではないかと思っています。また、透明半球を用いた生徒の観察と共に、他の季節の太陽の運動の映像を見せ、補完教材とすることも可能だと思います。

やはり、授業で利用するには、生徒たちのなじみのある学校の景色の中で、撮影することが望ましいと思われます。生徒が自分の生活環境の中で理解している太陽高度・方位などを、1年のデータを通して明確に意識できると思われるからです。もし、この全天カメラのシステムを利用して、各学校・地域で試してみたいということであれば、数ヶ月単位、あるいは、1年を通してご利用頂けますので、事務局までご連絡くださると幸いです。

ロンドン便り 第9弾
BETT SHOW 2006: 情報機器を教育に活用するビジネスショー視察の報告

ロンドンカレッジ大学 高田淑子

本年1月11-14日にわたり、BETTと言われる教育工学関連のビジネスショーがありました。これは、毎年行われており、業者、教育関係者など毎年数万人の人が参加するとのこと、その規模の大きさには、度肝を抜かれました。大きな会場と多数のブース(約600社)、セミナー、オフィスメーカーとの打合もできるようになっています。耳に入る言葉も英語だけではなく欧州各国から参加しているようです。また、日本人もちらほらいました。

主に、情報機器ハードウエア(コンピュータ機器、インターネット)、教育ソフトウエア(ソフト、ビデオ、等)、教育用教材(携帯顕微鏡、電気工作機器、パズルなど)等の紹介ブースがありました。特に、遠隔授業を用いた教育変革、情報白板(Information White Board)を用いた教室変革、についてのソリューション提案が目立ちました。

BETTショーの会場情報白板を用いた算数のソフトウエアを紹介、特殊ペンで白板上に記入・消去・クリックが可能。

情報白板は、もう英国では約3割の小中学校で導入が進んでいるとのこと、確実に増加しているようです。これはコンピュータの画像を白板に映しながら、その上に、特殊なペンで記入したりできるもので、プロジェクタを用いて投影する方法と背面から投影するテレビ方式がありました。前者はプロジェクタと白板の設置場所を動かせないこと、人陰が白板に写る等の問題点があり、後者は白板がテレビのように厚みがあることなど、今後改革の余地もありそうです。また、各生徒がリモコンを持って投票できるシステムも紹介されており、価格も百万円以下にさがり、手の出る範囲になってきたというのが実感です。これらに対応できるソフトウエアも出そろい、多数のソフト会社のブースがありました。またケンブリッジプレスと日立ソフト等、ソフトとハードの合弁会社なども育っており、今後の市場の拡大を感じました。手書きの良さが必要な低学年への利用の仕方は、考慮が必要かもしれません。文字と映像と手作り、そして、動的視聴覚に訴える素材提供など、今後の教育界もドラマティックに変貌していく可能性を秘めています。

また、障害をもった生徒への教育にITは大きな貢献をすると感じていましたが、スペシャルコーナーもありました。

ところで、ITは確実に教室に入り込んでいます。英国では、ふつうの家庭でもネットワーク環境は2MBが最速な契約可能回線速度ですから、企業、学校も日本のネットワーク環境とは異なります。ただ、生徒に宿題をコンピュータでまとめさせ電子メールで教師に送信させ、教師は授業前に宿題をチェックし、中身を授業中に情報白板を使い紹介する、と言うことが可能になっているし、現実的に行われています。と言う意味では、ネットワークや情報機器の利用頻度は高いようです。

ロンドンでは、London Grid for Learning (LGfL)と言う組織がロンドン地域の学校に2Mbps以上(100Mbpsまで)の通信速度のネットワークを提供し学校のインターネット化を進めています。現在、ロンドン地域の約60%の学校がこのLGfLのネットワークに接続されており、今年中75万人の生徒にインターネット接続を予定しているそうです。これらは、日本の学校の環境改善と同程度でしょうか。

ただし、情報教育に関する問題点、たとえば、アダルトサイトへのアクセス、電子メールの活用における迷惑メールの対処等、学校外のコンピュータ活用については、家庭に一任の状況もあります。社会全体でのインターネット教育は、どこの国でも今後の課題かもしれません。

BETTショー http://www.bettshow.com/

London Grid for Learning http://www.lgfl.net/

第47回科学技術映像祭に出品しませんか

(財)日本科学技術振興財団などが主催する第47回科学技術映像祭が開催されます。そこで、科学技術に関する映像を募集しています。入選作品は表彰され、日本各地で発表されます。みなさんの力作を応募してみませんか!?参加申込締切は2006年1月31日(必着)です。
詳しくは以下のサイトをご覧下さい。 http://ppd.jsf.or.jp/filmfest/

日本地球惑星科学連合2006年大会に参加しませんか

2006年 5月14日(日)ー18日(木)、幕張メッセで日本地球惑星科学連合2006年大会が実施されます。地球惑星科学関連では最も大きな学会です。 今回の大会では、幅広い分野からの参加が期待されています。高校生にも学んだ成果を発表できる場が提供されています。ぜひぜひこの場を有効に活用してください! アブストラクト締切は2月最初です!

  1. セッション

    今回の大会では、 ジョイントセッションで、 「地球惑星科学の教育とアウトリーチ(旧地学教育)」セッション(J159) また、無料で参加できる公開セッションで 「日本地球惑星科学連合が提案する理科の教育内容-「教養理科(仮称)」に基づいて-」(A001) 「高校生によるポスター発表もしくは討論会」(A002) などが実施されます。 セッション情報は以下を参照してください。
    http://earth2006.jtbcom.co.jp/session/session.html
    (セッション開催日時の決定は2月中旬を予定しているそうです)

  2. 参加登録

    参加登録は以下の大会のサイトの「予稿集原稿投稿」ページからできます。
    http://www.jpgu.org/meeting/index.htm
    投稿締切は2月8日正午で、投稿料は2月1日17時までは1500円/件、 その後は3000円/件となります。

みなさまふるってご参加ください!

※昨年の合同大会のレポートはこちら

みなさんの活動報告をお待ちしております

みなさんの活動報告を通信に発表してみませんか!引き続き、たくさんの投稿をお待ちしております。

※本ページ内に記載されたリンクは発行時現在の情報です。
連絡先:宮教大インターネット天文台事務局 三澤宇希子 ( メールフォームへ
今までの活用事例を、星空観察ネットの広場(http://www.hosizora.miyakyo-u.ac.jp/)で紹介しています。是非ご覧ください。