No.30 September , 2006
夜空メーター使い方実習会報告&フレンドシップ「2006年宇宙の旅」

仙台市天文台で実施した夜空メーター使い方実習会の様子と宮教大フレンドシップ事業で中学生を迎えて行った惑星科学実験の授業の様子をお伝えします。

2006年夜空メーター使い方実習会報告

宮城教育大学大学院理科教育専修 成田晋吾

7月22日(土)に仙台市天文台にて夜空メーターの使い方実習会を行いました。参加者は仙台市内の高校生、引率の先生など21名の方に参加していただきました。

実習会ではまず夜空メーターの仕組みや使い方の説明があり、次に仙台市天文台の佐藤さんにプラネタリウムを操作していただき、仙台と蔵王の夜空を再現してもらいました。仙台の夜空では天頂と北極星の明るさを測定し、蔵王の夜空では天の川と天の川ではない部分の明るさの違いを測定で確かめました。夜空メーターは自分の目で夜空の明るさを比較するのですが、仙台の空と蔵王の空、天の川と天の川ではない部分では明るさに違いがあることを理解することができました。また、今後の観測活動のために夏の大三角やさそり座などの夏の星座の解説をしていただき、星や星座の見つけ方を勉強しました。

初めて夜空メーターを操作する人がほとんどでしたが、容易に扱え、夜空の明るさを数値化することができました。一方で、手持ちでの測定だったために、星を視野に導入するのが難しく、苦労していた人が多かったようです。これらの改善も期待しています。

太陽系を探ろう−フレンドシップ2006から

宮城教育大学理科教育講座 高田淑子

毎年、宮教大の理科の教員免許取得希望者の3年生が、夏休みに中学生を大学に招き、1日4コースの実験教室を行います。本年度は、7月22・23日にかけて実施され、テーマの1つとして「2006年宇宙の旅:太陽系を巡って」と題した惑星を学習するコースを設け、いくつか、新しい実験にもチャレンジしてみました。

午前中は、「太陽系ってなーに?」という導入で、班ごとに画用紙とシールを使って惑星の太陽からの並び順を予想してもらうことから始めました。 「太陽系距離当てゲーム」では、予め作成しておいた長さ6mの数直線と惑星の駒を用いて、1兆分の1の縮尺で惑星の駒を並べるゲームをしました。 「惑星の大きさ比べ」では、10億分の1の縮尺で惑星の大きさを比較するために、直径140cmの風船を太陽に見立てたときの地球の大きさをビー玉・ピンポン球・野球ボール・バスケットボール・バランスボールの5つの中から予想して選んでもらい、その後、地球の直径を10億分の1に縮小する計算作業をして予想を確かめてみました。次に、太陽からの各惑星の距離を10億分の1に縮小する計算をしてもらい、生徒とともに野外で太陽と各惑星との距離を確認し、10億分の1の縮尺における各惑星の配置を実感してもらいました。といっても、学内の敷地内で確認できるのは火星の距離(230m)まで。木星以遠については、実験室に戻って仙台市の地図で確認しました。

惑星大きさ比べの様子屋外での太陽との距離の確認

午後は、太陽系の惑星を地球型惑星と木星型惑星に仲間分けして、それぞれの形成過程を考える実験をしました。
まず、地球型・木星型惑星の大きさが大きく異なる要因として形成時の温度に注目しました。実験では、2つのスチロールトレイを用意し、木星型惑星モデルのトレイには板状のドライアイスを入れて低温環境をつくり、両方のトレイに塵に見立てたパラフィンと研磨剤の粉末をふりかけ、晶出にどんな差があるかを調べました。木星型惑星モデルのトレイには塵の粉末だけではなく氷(霜)が晶出するので見た目で両者の固体物質の体積の違いが分かりました。塵に見立てたパラフィンと研磨剤の粉末で擬似微惑星をつくり、またそれらを1つにまとめて擬似原始惑星をつくりました。
次に、惑星内部の形成過程を理解する実験をしました。擬似惑星の一部を湯せんして溶かすことで、マグマオーシャンを再現したのです。湯せんすると、研磨剤が流れ落ちるように容器下部へと沈む様子が確認できました。ここで、密度の大きい物質が惑星内部に集積され、惑星内部が層構造を成していることを説明しました。
最後に、地球と木星の半球モデルを透明な板の上に粘土を重ねていって作成しました。粘土は地球の鉄部分、岩石部分、木星の岩石+氷部分、ガス部分それぞれ違う色で、10億分の1の縮尺に準じた各層の体積分量を用意しました。生徒達は粘土の感触を楽しみながら、地球と木星の大きさの違い、構成物質の違い、各層の体積比を体験的に理解していたようです。

地球領域(右)では塵物質のみ、
木星領域(左:ドライアイス入)では氷が晶出
湯せんすると研磨剤が分離して沈殿していく
半球粘土モデル作成の様子地球(左)と木星(右)の粘土モデル

アンケートでは19人の参加者全員が「楽しかった」と答えていました。なかでも惑星内部の形成過程を確認した実験、半球モデルを作成する実験が楽しかったようです。難易度についても「適切だった」が多数を占めました。「わかりにくいのでは?」「難しいのでは?」というコメントもある中での今回のフレンドシップでしたが、生徒達は楽しく惑星についての理解を深めたようです。

天文分野は、実際の教育現場においても、敬遠されがちな分野であり、その授業内容を考えるのは難しいものでした。実物を使っての実験が不可能で、さらに実施時間が昼間であるため望遠鏡で天体をみることも困難です。しかしそのような中でも、どのような代用品をどのように使って教えていけば太陽系のことを理解させられるのか、イメージを持たせることが出来るのかを考えてきました。 この授業においても、ねらいの1つとして特に大切に扱っていたのが「日常生活や教科書などから抱くイメージと実際とのギャップから驚きを得て、正しい理解をするということ」でした。中学生からのアンケートで「今まで考えていた惑星の大きさより、実際は全然違っていました。」「宇宙がすごく大きいなぁと感じた。」などのコメントがあったことからも、そのねらいは達成出来たように思います。本物を扱えない状況で工夫を重ね準備をしてきたので、実を結べて達成感がありました。 その他、今回のフレンドシップ事業からは実に多くのことを学びました。教える内容の何倍もの量を勉強しなければならないこと、本番で成功させるための予備実験の大切さ、一人ではなく複数人で授業をつくっていく難しさと分かち合い、実際に子どもたちと向かいあったときにどう進めていくかなど、自分たちで動いてきたからこそ、少しでも見えてきたように思います。 フレンドシップが終了して1ヶ月後、惑星の定義が変わりました。冥王星が惑星群から抜け、惑星は8個という定義になりました。結果的には、本実験が、タイムリーな話題提供をしたことになりました。

もっと詳しく知りたい方はPDFファイルをダウンロードしてお読みください!(7ページ 112KB)

宮城教育大学教育賞公募のお知らせ (11月末締め切り)

宮教大創立40周年を機に、全国の小・中・高校、特別支援学校、幼稚園、保育所等に勤務する方、または各種機関において児童・生徒に日常的にかかわっている実践者を対象に以下のような新しい実践授業を創出された方に授与する賞を新設しました。

  1. 実践の独創性:児童・生徒のこれまでにない活動・思考の展開の事実等。
  2. 実践の意義:普遍性、将来性、教育研究への寄与等。
  3. その他:教育実践界に刺激を与えうる可能性等。

是非、ご応募下さい。詳細は、http://prc.miyakyo-u.ac.jp/MUEprize/ をご覧下さい。

学校教育の中でのIT機器の活用事例を募集

日本教育工学 実践事例として、IT機器の学校教育の中での活用事例を毎年募集しています。是非、ご参考いただき、我こそはと思われん方、次回春にご応募下さい。今年は、仙台市立折立中学校におけるITを活用した授業のなかで、宮教大のインターネット天文台の活用も記載されています。詳細は、http://www.japet.or.jp/idea/boshu15/boshu15_1.htm をご覧下さい。

みなさんの活動報告をお待ちしております

みなさんの活動報告を通信に発表してみませんか!引き続き、たくさんの投稿をお待ちしております。

※本ページ内に記載されたリンクは発行時現在の情報です。
連絡先:宮教大インターネット天文台事務局 三澤宇希子 ( メールフォームへ
今までの活用事例を、星空観察ネットの広場(http://www.hosizora.miyakyo-u.ac.jp/)で紹介しています。是非ご覧ください。